すいかの匂い

「すいかの匂い」読みました。
大好きな江國香織さんです。
11人の少女の夏の記憶の物語ということで、美しい汗、セミの声、蚊取り線香の匂い、眩しい夏の短篇です。

女性ではなく少女なので、大人からするとちょっとホラーじみた内容に思ってしまいますが、読んでいるとどこか懐かしい心地よさがあるのです。それぞれの体験で共通することがあるとか、共感が持てるとかそういったことではなく、全体に流れる空気をすでに知っているものだったりするのです。
少女独特の敏感でデリケートな感性、喜び、疑問、怯え、期待。
過去のどこかの自分を見ているような気持ちになります。

そんな自分にとっての夏は田舎のじいちゃんの家で過ごす、果てしなく長く、無限の輝きに満ちた夏休みです。
畑が広がり、土の匂いがして、焚き火の匂いがまじり、セミの声、風の音。思い出すだけで涙が出ます。
今は整備がされ、高速道路が走ってしまいました。畑はアパートになり、駄菓子屋はクリーニング店になり、お茶屋はコンビニに、海苔屋は二世帯住宅になっています。
江國香織さんのような才能があったら忘れたくない光景を留めておきたいなって思ったりもします。
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